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ヒートウェア

ヒートウエア
画像はイメージです。

2025年11月7日

オートバイ用の「ヒートウェア」は、広義では防寒ウェア全般を指しますが、一般的には、ジャケットやパンツといった主となる防寒着に加えて、特定の部位を局所的・集中的に温めるためのアクセサリー類を指すことが多いです。

 

電熱ウェア(ヒートウェア、e-Heatなどとも呼ばれます)は、電気の力で発熱体を温め、ライダーを積極的に暖める装備です。

従来の防寒ウェアが持つ「保温(熱を逃がさない)」機能に加え、「発熱(熱を生み出す)」機能を備えることで、極寒期のライディングに革命をもたらしました。

 

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ヒートウェアの機能と主要な特徴

ヒートウエア

電熱ウェアの核心は、「発熱メカニズム」とそれを支える「電源・制御システム」にあります。

発熱・保温のメカニズム

特徴詳細防寒上の重要性
発熱体
(ヒーター)
カーボンファイバーニクロム線などの発熱体を、
ウェアの内部に縫い込んでいます。
柔軟で断線しにくい素材が使われており、
ウェアの動きに合わせて曲げ伸ばしが可能です。
発熱部位の集中配置特に冷えやすい体幹(胸・背中・腹部)
首元(頸動脈)指の甲太ももなど、
血流が集中する部位や風に晒されやすい部位に
発熱体を集中配置しています。
効率よく体を温め、
体全体の血液循環による暖房効果を高めます。
薄い素材と保温材の
組み合わせ
発熱した熱を逃がさないよう、
ウェア本体は断熱性の高い素材で作られていますが、
通常のダウンジャケットほど厚くはありません。
多くはミドルレイヤー(中間着)として着用されます。
厚着による着ぶくれを防ぎ、
ライダーの動きやすさ(操作性)を確保します。

電源と制御システム

特徴詳細用途への影響
車体電源式オートバイのバッテリーから直接電源を取る方式。
専用のハーネス(配線)を車体に取り付け、
ウェアと接続して使用します。
安定した大電力供給が可能なため、
長時間・長距離の使用に最適です。
ただし、バイクから離れると使用できません。
携帯バッテリー式リチウムイオンバッテリーパックを
ウェアのポケットなどに内蔵して使用する方式。
配線が不要で、バイクから降りた後も使用可能です。
ただし、バッテリー容量に依存するため、
稼働時間が限定されます。
温度調節機能スイッチ(ウェア本体、またはリモコン)により、
3~5段階で温度調整が可能です。
外気温や走行速度、
体調に合わせて発熱レベルを細かく設定でき、
快適性を維持します。
安全性機能過熱防止機能(サーモスタット)により、
設定温度以上に温度が上昇するのを防ぎます。
また、断線防止や防水・防湿処理が施されています。

 

ヒートウェアの用途とメリット

画像はイメージです。

ヒートウェアは、特に極端な低温環境で、従来の防寒着では得られないメリットを提供します。

主な用途

  1. 極寒期の長距離ツーリング:外気温が5°Cを下回る、または氷点下になるような状況での走行。
  2. 冬場の高速道路走行:速度が上がることで風による体感温度が急激に低下する(ウインドチル)状況。
  3. 通勤・通学:短い時間で確実に暖を取りたい場合。
  4. 冷え性対策:体質的に冷えやすいライダーが、特定の部位(指先、足先、首元)を集中的に温めたい場合。

従来の防寒着に対するメリット

メリット詳細
圧倒的な暖かさ外部の気温に関係なく、自ら発熱するため、
体温低下を根元から解消できます。
着ぶくれの解消多数のインナーや厚手のジャケットを重ね着する必要がなくなり、
薄着で暖かさを確保できます。これにより、
ライディングの操作性や疲労軽減に貢献します。
即効性スイッチを入れると数秒から数十秒で暖かくなり、
走行開始直後から快適です。
細かな温度調節走行中、トンネルに入ったときや日差しが出たときなど、
気温が変化しても瞬時に暖かさを増減できます。

ヒートウェアの種類

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ヒートウェアを使用する際は、低温やけど防止のため、必ず薄手のインナーウェア(ベースレイヤー)の上から着用し、肌に直接触れないようにすることが推奨されています。

ヒートウェアは、体の中で特に冷えやすい「首周り」「手首・足首」「腹部」などを集中的に保護し、体全体の体温低下を防ぐことを目的としています。

 

種類主な発熱部位特徴と用途
電熱ジャケット胸、背中、首元、腕体幹全体を温める最も効果的なアイテム。
主にミドルレイヤーとして使用され、アウターウェアの下に着用します。
電熱ベスト胸、背中袖がないため動きやすく、体幹保温に特化
既存のジャケットの防寒性能を底上げしたい場合に最適です。
電熱グローブ指の甲、指先全体最も冷えやすい指先を直接温める
バッテリー内蔵型が主流で、操作性を考慮して薄手に作られています。
電熱パンツ太もも、膝、腰下半身の冷えを防ぎます。
特に足元の冷えや、タンクからの冷え対策に有効です。
電熱インナーソックス/インソール足先全体を温める。
極度の足先の冷えに効果的で、専用バッテリーで駆動します。

ネックウォーマー / ネックゲイター

首元を保護する、最も一般的なウォーマーウェアです。

 

特徴詳細用途
防風・保温性首周りからの走行風の侵入を徹底的に遮断します。
内側はフリースや裏起毛素材で保温力を高めます。
冬場のライディング。
首元の動脈が冷えると体全体が冷えるため体温維持に不可欠です。
素材の工夫前面(風が当たる部分)は防風フィルム入り、
背面(首の後ろ)は透湿性のある素材というように、
部位によって素材を使い分けるモデルが多いです。
寒さと蒸れの両方に対応し、快適性を維持します。
形状の種類筒状のネックゲイターや、首元を広範囲に覆う
フェイスマスク一体型(バラクラバ)などがあります。
バラクラバはヘルメット内の防寒・吸汗にも役立ちます。

ハンドルカバー (ハンターカブ/スクーターに人気)

ハンドルと手のひらを覆う大型のカバーです。

 

特徴詳細用途
風雨からの隔離グリップとレバー操作部分を
完全に風雨から隔離することで、外気を遮断し、
グローブ単体よりも圧倒的な保温効果を発揮します。
通勤・通学や日常使い。
特にグローブを薄手にしたい時や、
厳冬期の防寒対策として最強です。
操作性ブレーキ操作やウインカー操作を妨げないように、
内部の形状が工夫されています。
ただし、レバーやスイッチ類の操作時に、
カバーの縁に手が引っかかる感覚に慣れが必要です。
素材防水性の高いネオプレン素材や、
中綿入りの厚手のナイロン素材が使用されます。

レッグウォーマー / アンクルウォーマー

足首やふくらはぎなど、下半身の関節周りを集中的に温めるアイテムです。

 

特徴詳細用途
関節の保温ブーツとパンツの隙間や、
靴下だけでは冷えやすい足首周りを二重に覆い、
冷えを遮断します。
足先の血行不良による冷えや、
ふくらはぎの冷えから来る疲労を防ぎます。
防風性能特に足首周りは走行風が巻き込みやすいため、
防風素材を使い、冷気の侵入をブロックします。

ベスト(電熱ベスト/防風フリースベスト)

ジャケットとインナーの間に着用し、上半身の体幹を集中的に温めます。

 

特徴詳細用途
体幹保温心臓や内臓のある胴体部分を温めることで、
全身に温かい血液を送り出し、
体全体の保温効率を向上させます。
腕周りはインナーで済ませ、
体幹だけを重点的に温めたい場合に有効です。
電熱機能
(ヒートベスト)
バッテリー駆動の電熱ヒーターを内蔵し、
胸部や背中を発熱させることで、積極的な暖房効果を得られます。
(電熱ウェアの一部)
既存のジャケットの防寒性能を
簡単にアップグレードしたい場合に最適です。
機動性袖がないため、腕の動きを一切妨げません
ライディングの操作性を重視するライダーに好まれます。

その他のヒートウェア

  • ウエストウォーマー/腹巻き:冷えやすい腹部・腰部を重点的に温め、内臓の冷えを防ぎます。
  • グローブインナー:薄手のインナーグローブを通常の冬用グローブの下に着用することで、保温力を高めます。
  • 吸湿速乾性があれば、グローブ内のムレ防止にも役立ちます。

ヒートウェアは、主となる防寒ウェアの「弱点」を補強するための非常に有効な手段です。特に首と手首、足首の「三首」を温めることは、寒さ対策の基本とされています。

画像はイメージです。

Posted by 夏木 陽