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レーシングスーツ

レーシングスーツ
画像はイメージです。

2025年11月6日

オートバイ用のレーシングスーツ(通称:革ツナギ)は、一般的なライディングジャケットやパンツとは一線を画す、究極の安全性と運動性を追求した装備です。主にサーキットでの高速走行やレースで使用されます。

その機能、用途、および主要な特徴について詳しく解説します。

 

1.安全性・運動性の極限追求

画像はイメージです。

レーシングスーツの設計思想は「転倒からライダーの命と身体を守ること」と「ライディングの邪魔をしないこと」に集約されます。

1-1. 最高の安全性(プロテクション機能)

特徴詳細補足
高強度素材
(レザー)
主に牛革(カウハイド)や、
より軽量で強度が高いカンガルー革が使用されます。
転倒時の路面との摩擦熱や引き裂きに極めて強く、
皮膚を保護します。
革の厚みや品質が安全性の鍵となります。
CE規格プロテクター肩、肘、膝、背中、腰、すねなど、
転倒時に衝撃を受けやすい主要な部位に、
CE規格レベル2などの高強度プロテクターが
組み込まれています。
プロテクターはスーツに内蔵または一体化されており、
正しい位置で機能するよう工夫されています。
外部スライダー
(メタル/樹脂)
肩、肘、膝の外側に、チタンやアルミ、
高強度樹脂などのスライダーが装備されます。
転倒時に路面との摩擦抵抗を減らし、
衝撃を逃がす役割を果たします。
摩擦でスーツが引っかかり、
ライダーがねじれるのを防ぐ重要な機能です。
ハンプ
(背中のコブ)
背中の上部にあるコブ状の突起。背骨や頚椎を保護する
プロテクションとしての機能と、
エアロダイナミクス(空力性能)の向上の役割を持ちます。
近年のモデルでは、
エアバッグシステムの制御ユニットや、
長時間のレース用ドリンクパックが内蔵されることも
あります。
エアバッグシステム近年急速に普及。転倒を検知した際に
瞬時(約0.02秒~0.04秒)に膨張し、
肩、胸部、背中、脇腹、首周りなど
広範囲の衝撃を緩和します。
ワイヤー式(車体と接続)と
ワイヤレス式(センサー内蔵)があり、
プロフェッショナルレースでは義務化が進んでいます。
画像はイメージです。

1-2. 運動性と快適性(ライディングサポート)

特徴詳細補足
ワンピース
(一体型)構造
上下がつながった構造で、万一の転倒時に
めくれ上がって肌が露出するのを防ぎます
また、上下一体のため、非常に動きやすく、
ライディングに集中できます。
脱着は大変ですが、安全性を最優先した形状です。
立体裁断
・シャーリング
バイクに伏せた前傾姿勢を前提とした立体裁断が施されています。
背中や肘、膝の関節部にはシャーリング(伸縮ギャザー)や
ストレッチ素材が使用され、激しい動きにも追従します。
フィット感がライディングの操作性に直結します。
ベンチレーション高速走行による発汗と熱を逃がすため、
パンチング加工や通気性の高い素材、
開閉可能な通気口が設けられています。
ライダーの集中力を維持するため、
快適性は安全にも繋がります。

2. 用途と種類の分類

画像はイメージです。

2-1. 主な用途

レーシングスーツの主な用途は以下の通りです。

  • サーキット走行・レース
    • 最も重要な用途。MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)など、レースの規則で着用が義務付けられています。
  • サーキット走行会
    • 公道とは異なる高速域での走行を楽しむイベント。安全のため、レーシングスーツ(革ツナギ)の着用が必須となる場合がほとんどです。
  • スポーツライディング
    • 公道での着用は一般的ではありませんが、セパレートタイプ(上下分離型)は、スポーツ走行を意識したツーリングなどで使用されることがあります。

2-2. 種類と選び方

種類特徴適した用途
ワンピース型上下一体型。最も安全性が高く、
プロテクション効果と運動性に優れる。
レース、本格的なサーキット走行会
セパレート型上下分離型。転倒時に上下がめくれるリスクがあるため、
競技では使用が認められない場合がある。
初心者向け走行会、スポーツツーリング
脱着が比較的容易。
吊るし(既製品)標準的なサイズで量産された製品。
オーダーメイドに比べて安価で、すぐに手に入る。
初心者、走行会参加者
カスタムオーダー
(フルオーダー)
ライダーの体型に合わせて採寸・製作される。
最高のフィット感と運動性を実現できる。
競技ライダー、体型が特殊な人、
最高の性能を求める人

3. 主要なレーシングスーツブランド

ブランド名特徴・強み
ダイネーゼ (DAINESE)
/ アルパインスターズ (alpinestars)
世界的なトップブランド。MotoGPなどの最高峰レースで培われた技術が
フィードバックされており、D-airTech-Airといった高性能ワイヤレスエアバッグシステム
パイオニアです。高いデザイン性も魅力。
クシタニ (KUSHITANI)日本の老舗メーカー。職人の技術による高品質なレザーと、
日本人体型に合わせたパターンに定評があります。柔と剛を両立させた着心地の良さが特徴。
RSタイチ (RS TAICHI)日本人向けのサイズ感と、独自のT-RAPSなどのエアバッグシステム
(ワイヤー式/インナーベスト)をラインナップ。トップライダーも使用する実績と高い機能性を持つ。
カドヤ (KADOYA)ヘビーデューティーな革製品に特化。デザイン性と堅牢性を重視したレーシングスーツも
手掛けています。

レーシングスーツは、バイクウェアの中でも最も高価で、安全に直結する装備です。

購入の際は、ブランドを問わず、必ず試着し、バイクに乗る姿勢でプロテクターが正しい位置にあるか突っ張りがないかを確認することが極めて重要です。

 

画像はイメージです。

Posted by 夏木 陽