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イグニッション

イグニッション系
画像はイメージです。

2025年10月17日

オートバイの「イグニッション」は、エンジンの始動と点火を司るシステム全体を指し、ライダーがバイクを動かす最初の「儀式」とも言える重要な役割を担っています。

 

「イグニッションシステム」とはエンジンに点火するシステム全体のことを指します。キーを回してエンジンを始動させる動作(イグニッション)もこのシステムに含まれます。そして、スパークプラグに電圧を供給し、燃料と空気の混合気に火花を飛ばして燃焼を起こす一連の仕組み全体を指します。

 

イグニッションシステムの構成要素

イグニッション系

イグニッションは、オートバイの「生命線」とも言えるシステムです。単なるスイッチではなく、点火・電装・制御の起点として、バイクのすべての動作を司っています。構成要素の理解と定期的な点検が、快適で安全なライディングにつながります。

 

 

コンポーネント役割
バッテリー電力供給の源。12Vが基本。
イグニッションコイル電圧を30,000V以上に昇圧し、点火プラグへ供給。
点火プラグ火花を飛ばして混合気を着火。
ECU(電子制御ユニット)点火タイミングや燃料噴射を制御。
センサー類(クランク角・スロットル・温度など)ECUに情報を提供し、最適な点火制御を支援。

エンジンコントローラー(ECU)

エンジンコントローラーとは、エンジンを電子的に制御する装置(ECU)です。

燃料噴射量や点火時期などを最適に制御することで、燃費向上、排出ガス削減、性能向上に貢献します。

現在では、エンジンだけでなくトランスミッションやブレーキ、エアコン、メーター類など、車両のさまざまな機能を制御する装置の総称としても使われます。

 

コンポーネントとECU

 

主な役割

  • 燃料噴射量の制御
    • エンジンの状態(アクセルの踏み込み具合、吸入空気量、水温など)をセンサーで検知し、燃料をどれだけ噴射するかを決定します。
    • これにより、走行状況に応じた適切なパワーを発揮しつつ、燃費を向上させます。
  • 点火タイミングの制御
    • エンジンへの点火のタイミングを、走行条件に合わせてミリ秒単位で調整します。
    • 最適なタイミングで点火することで、エンジンの性能を最大限に引き出します。
  • 排気ガスの制御
    • 有害な排気ガスの排出量を抑制するため、空燃比(空気と燃料の混合比)を管理します。
    • 環境基準を満たすクリーンな排気を実現する上で重要な役割を果たします。
  • エンジンの保護
    • エンジンに異常が発生した場合、ECUがそれを検知して警告灯(チェックエンジンランプなど)を点灯させ、ドライバーに異常を知らせます。
  • その他の機能
    • 車種によっては、アイドリングストップやバルブタイミングの調整など、より高度なエンジン制御も行っています。

仕組み

  1. センサーからの情報収集: エンジン各部に設置されたセンサー(吸気温度センサー、水温センサー、クランク角センサーなど)から、エンジンの状態に関する膨大な情報をリアルタイムで受け取ります。
  2. 演算と判断: 受け取った情報をもとに、あらかじめプログラムされた最適な制御プログラム(マップ)に従って演算処理を行います。
  3. アクチュエーターへの指示: 演算結果に基づき、燃料噴射装置や点火装置といったアクチュエーターに具体的な動作指示を出します。 

 

イグナイターの基本機能

CDIイグナイター

イグナイターとはイグニッションシステムの一部であり、点火という一連の動作を担う重要な部品の1つです。

簡単に言うと、イグニッションコイルが「点火ための高電圧を発生させる」役割で、イグナイターが「その発生を制御する」役割を担います。

 

イグナイターは、バイクの心臓部とも言える点火系統の司令塔です。

点火タイミングの精度がエンジン性能に直結するため、イグナイターの状態は常に良好に保つ必要があります。

構造の違いや故障時の症状を理解しておくことで、メンテナンスやトラブル対応がスムーズになります。

 

  • 点火タイミングの制御 イグナイターは、エンジンの回転数やスロットル開度などの情報をもとに、点火プラグに火花を飛ばすタイミングを制御します。これにより、燃焼効率と出力が最適化されます。
  • 電流のオン・オフ制御 点火コイルに流す電流のオン・オフを制御することで、高電圧を発生させ、スパークプラグに火花を飛ばします。これが燃料と空気の混合気を燃焼させるきっかけになります。
  • ECUとの連携 現代のバイクでは、イグナイターはECU(エンジンコントロールユニット)と連携して動作します。ECUからの信号を受けて、最適な点火タイミングを実現します。

用途と構造の特徴

特徴内容
外付けタイプ古い車両ではイグナイターが点火コイルとは別に存在し、ECUからの信号で点火を制御します。
内蔵タイプ最近の車両では、イグナイターが点火コイルに内蔵されていることが多く、配線が簡素化されています。
ECU内蔵タイプ一部の高性能ECUでは、イグナイター機能がECUに統合されており、直接点火コイルを駆動します。

故障時の症状と注意点

  • エンジンがかからない、始動しにくい
  • 走行中のエンストやアイドリング不安定
  • 高回転時の失火やパワー不足

故障の原因には、熱・振動・経年劣化・電気的過負荷などがあり、特に古い車両では外付けタイプのイグナイターが故障しやすい傾向があります。

イグニッションキーの基本機能

  • エンジン始動のトリガー イグニッションキー(またはスマートキー)を「ON」にすることで、バッテリーから電力が供給され、点火系統が作動可能になります。
  • 電気系統の起動 メーター、ライト、ECU、燃料ポンプなど、エンジン始動前に必要な電装品が起動します。
  • 点火システムの作動 イグニッションがONになると、イグニッションコイルが作動し、点火プラグに高電圧を供給して火花を飛ばします。これにより燃焼室内の混合気が爆発し、エンジンが始動します。

イグニッションキーの種類と特徴

スマートキー式
種類特徴備考
キー式物理キーでON/OFF操作古典的で信頼性高い
スマートキー式無線通信で認証・始動高級車種や新型モデルに多い
プッシュスタート式ボタン操作で始動スマートキーと併用されることが多い

故障時の症状と注意点

  • イグニッションがONにならない(電源不通)
  • セルが回らない(スターター不作動)
  • エンジンがかからない(点火系統不良)
  • メーターやライトが点灯しない(電装系統不良)

原因としては、バッテリー上がり、ヒューズ切れ、イグニッションスイッチの接触不良、ECUの故障などが考えられます。

スパークプラグの基本機能

点火プラグ(スパークプラグ)は、オートバイのエンジンにおいて「燃焼の起点」を担う非常に重要な部品です。

種類や熱価、使用環境に応じた選定と定期的な交換が、バイクのコンディション維持に不可欠です。

 

  • 火花放電による着火 点火コイルから供給される高電圧(約2万〜3万ボルト)を利用して、電極間に火花を発生させ、シリンダー内の混合気(空気+燃料)を着火します。
  • 燃焼のトリガーとしての役割 火花によって燃焼が始まり、爆発的なエネルギーがピストンを押し下げ、エンジンが駆動します。点火プラグはこの一連のサイクルの起点です。

構造と技術的特徴

部位機能
中心電極高電圧を受けて火花を発生させる主電極。銅芯入りで熱伝導性を高めています。
接地電極火花の相手側となる電極。燃焼室側に露出しており、耐熱性が求められます。
絶縁体(インシュレーター)電極間の絶縁を保ちつつ、熱を逃がす役割も担います。高アルミナセラミックスなどが使われます。
ギャップ(隙間)火花が飛ぶ距離。通常0.6〜1.1mm程度で、着火性に大きく影響します。

プラグの種類と用途

NGK製プラグ
種類特徴用途
標準プラグ一般的なニッケル電極通常走行向け
白金プラグ耐久性が高く長寿命長距離走行・メンテナンス頻度低減
イリジウムプラグ高着火性・高性能高回転型エンジン・スポーツ走行
多極プラグ電極数が複数で安定性向上耐振性・耐汚損性が求められる車両

劣化と交換の目安

  • 劣化症状
    • 始動性の低下
    • アイドリング不安定
    • 燃費悪化
    • エンジンの失火や加速不良
  • 交換目安
    • 標準プラグ:約5,000〜10,000km
    • 白金・イリジウムプラグ:約20,000〜30,000km ※使用環境やエンジン特性により変動します。

選定のポイント

  • 熱価(ヒートレンジ) プラグが受けた熱をどれだけ放出できるかを示す指標。高回転・高出力エンジンには「冷えやすい」高熱価プラグが適しています。
  • ギャップ調整 火花の飛びやすさに直結するため、車種ごとの推奨値に合わせて調整が必要です。

Posted by 夏木 陽