キャブレター

キャブレター(Carburetor)は、オートバイの内燃エンジンにおいて、燃料(ガソリン)と空気を適切な比率で混合し、エンジンに供給する装置です。
現在では電子制御式のフューエルインジェクション(FI)が主流ですが、キャブレターには独自の魅力と特徴があります。
キャブとFIは、単なる技術の違いではなく「バイクとの付き合い方」にも関わる選択です。どちらにも魅力があり、乗り手のスタイルによって最適解は変わります。
キャブレターの基本構造と仕組み
キャブレターは以下のような部品で構成され、空気の流れと負圧を利用して燃料を霧状にして供給します。
| 部品名 | 役割 |
|---|---|
| フロートチャンバー | ガソリンを一定量保持するタンク。フロートで液面を調整。 |
| スロットルバルブ | 空気の流量を調整。スロットル操作に連動して上下する。 |
| ジェット(メイン・スロー) | ガソリンの供給量を調整。開度に応じて異なるジェットが働く。 |
| ニードル | スロットル開度に応じて燃料の流量を微調整。 |
| ベンチュリー | 空気の流速を上げて負圧を発生させ、燃料を吸い上げる。 |
キャブレターの種類
1. 強制開閉式キャブレター
- ライダーのスロットル操作に直接反応
- レスポンスが鋭く、スポーツ走行向き
- 例:FCR、TMRなどの高性能キャブ
2. 負圧式キャブレター(CVキャブ)
- 空気の流れによる負圧でスロットルバルブが自動調整
- 滑らかな加速と扱いやすさが特徴
- 大型ツーリングバイクなどに多く採用
セッティングとチューニング
キャブレターは、以下の要素を調整することで性能を最適化できます。
- メインジェット:高開度時の燃料供給量
- スロージェット:低開度・アイドリング時の燃料供給量
- ニードル位置:中開度域の燃料調整
- エアスクリュー:空気量の微調整(主にアイドリング付近)
これらを調整することで、加速感・燃費・始動性などをライダーの好みに合わせて変えることができます。
キャブレターの特徴
概要
- 機械式の燃料供給装置
- エンジンの吸気負圧を利用して、空気と燃料を混合
- スロットル操作に応じて燃料供給量が変化
メリット
- 構造がシンプルで整備しやすい
- 自分でセッティングや調整が可能(ジェット交換など)
- バッテリーが弱くても始動できる場合がある
- アナログな操作感が魅力で、旧車ファンに人気
デメリット
- 気温や標高など環境変化に弱い(混合比が狂いやすい)
- 始動性が悪い(特に寒冷時)
- 燃費が悪く、排ガスも多め
- 排ガス規制に対応しづらく、現在は新車ではほぼ採用されていない
フューエルインジェクション(FI)の特徴

概要
- 電子制御式の燃料噴射装置
- センサーで吸気量・気温・酸素濃度などを検知し、ECUが最適な燃料量を計算
- インジェクターから燃料を高圧で噴射
メリット
- 始動性が非常に良い(寒冷時でも安定)
- 燃費が良く、排ガスも少ない(環境性能に優れる)
- 自動で燃調を最適化してくれるため、調整不要
- 高回転域でも安定した出力が得られる
デメリット
- 構造が複雑で、故障時の修理費が高い
- 自分で調整するのが難しい(専用機器が必要)
- バッテリー依存度が高く、電力供給がないと始動不可
比較表:キャブ vs FI
| 項目 | キャブレター | フューエルインジェクション |
|---|---|---|
| 制御方式 | 機械式(負圧) | 電子制御(センサー+ECU) |
| 始動性 | 気温に左右される | 常に安定して始動可能 |
| 燃費 | やや悪い | 良好 |
| 排ガス性能 | 規制対応が難しい | 規制対応が容易 |
| メンテナンス性 | 自分で整備しやすい | 専門機器が必要 |
| 修理費用 | 安価 | 高価 |
| 操作感 | ダイレクトで味がある | スムーズで快適 |
| 現在の主流 | 旧車・一部輸入車 | ほぼすべての新車 |
どちらが向いているか?
- キャブ車:整備やカスタムを楽しみたい人、旧車の味わいを求める人
- FI車:通勤・ツーリングなど安定性と快適性を重視する人、環境性能を気にする人


















































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































