最近の投稿一覧

メニュー一覧

キャブレター

キャブレター系
画像はイメージです。

2025年10月17日

キャブレター(Carburetor)は、オートバイの内燃エンジンにおいて、燃料(ガソリン)と空気を適切な比率で混合し、エンジンに供給する装置です。

現在では電子制御式のフューエルインジェクション(FI)が主流ですが、キャブレターには独自の魅力と特徴があります。

 

キャブとFIは、単なる技術の違いではなく「バイクとの付き合い方」にも関わる選択です。どちらにも魅力があり、乗り手のスタイルによって最適解は変わります。

 

キャブレターの基本構造と仕組み

キャブレターは以下のような部品で構成され、空気の流れと負圧を利用して燃料を霧状にして供給します。

 

部品名役割
フロートチャンバーガソリンを一定量保持するタンク。フロートで液面を調整。
スロットルバルブ空気の流量を調整。スロットル操作に連動して上下する。
ジェット(メイン・スロー)ガソリンの供給量を調整。開度に応じて異なるジェットが働く。
ニードルスロットル開度に応じて燃料の流量を微調整。
ベンチュリー空気の流速を上げて負圧を発生させ、燃料を吸い上げる。

キャブレターの種類

1. 強制開閉式キャブレター

  • ライダーのスロットル操作に直接反応
  • レスポンスが鋭く、スポーツ走行向き
  • 例:FCR、TMRなどの高性能キャブ

2. 負圧式キャブレター(CVキャブ)

  • 空気の流れによる負圧でスロットルバルブが自動調整
  • 滑らかな加速と扱いやすさが特徴
  • 大型ツーリングバイクなどに多く採用

セッティングとチューニング

キャブレターは、以下の要素を調整することで性能を最適化できます。

  • メインジェット:高開度時の燃料供給量
  • スロージェット:低開度・アイドリング時の燃料供給量
  • ニードル位置:中開度域の燃料調整
  • エアスクリュー:空気量の微調整(主にアイドリング付近)

これらを調整することで、加速感・燃費・始動性などをライダーの好みに合わせて変えることができます。

キャブレターの特徴

概要

  • 機械式の燃料供給装置
  • エンジンの吸気負圧を利用して、空気と燃料を混合
  • スロットル操作に応じて燃料供給量が変化

メリット

  • 構造がシンプルで整備しやすい
  • 自分でセッティングや調整が可能(ジェット交換など)
  • バッテリーが弱くても始動できる場合がある
  • アナログな操作感が魅力で、旧車ファンに人気

デメリット

  • 気温や標高など環境変化に弱い(混合比が狂いやすい)
  • 始動性が悪い(特に寒冷時)
  • 燃費が悪く、排ガスも多め
  • 排ガス規制に対応しづらく、現在は新車ではほぼ採用されていない

フューエルインジェクション(FI)の特徴

世界初のF.I.導入車:1980年型 KAWASAKI Z1000 MKⅡ KEFI仕様

概要

  • 電子制御式の燃料噴射装置
  • センサーで吸気量・気温・酸素濃度などを検知し、ECUが最適な燃料量を計算
  • インジェクターから燃料を高圧で噴射

メリット

  • 始動性が非常に良い(寒冷時でも安定)
  • 燃費が良く、排ガスも少ない(環境性能に優れる)
  • 自動で燃調を最適化してくれるため、調整不要
  • 高回転域でも安定した出力が得られる

デメリット

  • 構造が複雑で、故障時の修理費が高い
  • 自分で調整するのが難しい(専用機器が必要)
  • バッテリー依存度が高く、電力供給がないと始動不可

比較表:キャブ vs FI

項目キャブレターフューエルインジェクション
制御方式機械式(負圧)電子制御(センサー+ECU)
始動性気温に左右される常に安定して始動可能
燃費やや悪い良好
排ガス性能規制対応が難しい規制対応が容易
メンテナンス性自分で整備しやすい専門機器が必要
修理費用安価高価
操作感ダイレクトで味があるスムーズで快適
現在の主流旧車・一部輸入車ほぼすべての新車

どちらが向いているか?

  • キャブ車:整備やカスタムを楽しみたい人、旧車の味わいを求める人
  • FI車:通勤・ツーリングなど安定性と快適性を重視する人、環境性能を気にする人

Posted by 夏木 陽