アーシング

オートバイのアーシング(電流のアース強化)は、電装系の安定化や性能向上を狙ったカスタム手法です。
ただし、旧車と新車ではその効果や必要性が大きく異なります。
アーシングは、電気系統にあるマイナス極への抵抗を減らし、電流を安定させるものです。経年劣化などで本来の力を発揮できなくなったバイクに施すと、ライトの光量アップや燃費向上などの効果が期待できます。
アーシングは、もともとレーシングカーに使われる技術ですが、数年前からは一般チューニング市場にも広がりました。
バイクへアーシングをした方たちからは「エンジンがかかりやすくなった」「何も変化がなかった」など、さまざまな声が聞かれます。
もしご自身のバイクにアーシングを検討しているなら、車種や年式、電装構成を踏まえて判断するのがベストです。
施工前に純正アースの状態をチェックするのも重要です。
アーシングとは?
- バッテリーのマイナス端子から各電装部品へ低抵抗のケーブルを追加し、電流の「戻り道」を強化する手法。
- 通常、車体の金属部分を通して電流が戻りますが、経年劣化や接点不良で抵抗が増えると電圧低下や誤作動が起こることがあります。
- アーシングにより、電気の流れがスムーズになり、始動性やライトの明るさ、トルク感などが改善されることがあります。
旧車(クラシックバイク)の特徴とアーシング効果

効果が出やすい理由
- 経年劣化:フレームや接点の腐食により電気抵抗が増加。
- アース設計の簡素さ:古い車両はアースポイントが少なく、電流の戻り道が不安定。
- 電装品の電圧感度が高い:点火系やライトが電圧低下に敏感。
期待できる改善点
- セルモーターの始動性向上
- 低・中速域におけるトルクが向上する
- スロットルレスポンスが向上する
- ヘッドライトの明るさアップ
- アイドリングの安定化
- 点火タイミングの安定によるトルク向上
- 排気の清浄化につながる
アーシングポイント例
- エンジン本体:エンジンブロックなどの金属部分。
- フレーム:フレームに元々あるアースポイント、または塗装を剥がしたボルト穴。
- ジェネレーター部分:発電システムの一部。
- ノロジーアース接続ポイント:専用の接続場所がある場合。
注意点
- テスター(マルチメーター)を使いポイントを探す。
- 配線の取り回しや接点処理が雑だと逆効果になることも。
- 塗装を剥がす。
- 腐食対策や絶縁処理が重要。
新車(現代バイク)の特徴とアーシング効果
効果が限定的な理由
- 電装設計が高度化:ECU制御やCAN通信など、電流経路が最適化されている。
- 純正アースが強化済み:メーカーが低抵抗のアースケーブルを複数配置済み。
- 電装品の電圧許容範囲が広い:誤作動しにくい設計。
効果が出る可能性があるケース
- 高負荷電装(大容量オーディオ、HIDライトなど)を追加した場合
- アフターパーツの点火系を導入した場合
- アイドリングやアクセルレスポンスに微細な変化を求める場合
注意点
- 不適切な施工でノイズや誤作動を招くリスクあり。
- ECUやセンサー系統に干渉すると故障の原因になる。
- プラシーボ効果と実際の性能向上の見極めが難しい。
旧車 vs 新車のアーシング比較
| 項目 | 旧車 | 新車 |
|---|---|---|
| 電気抵抗 | 高め(劣化あり) | 低め(設計最適化) |
| アース設計 | 簡素 | 高度・多点 |
| 効果の体感 | 明確に出ることが多い | 微細または不明瞭 |
| リスク | 接点不良・腐食 | ECU干渉・ノイズ発生 |
| 推奨度 | 高(条件付き) | 低(慎重に判断) |

アーシングを行なう前に知っておくべきこと
- 不用意に行うと火災の原因になる可能性があること
- 故障の際にメーカー保証を受けられなくなること
- ライト類やバッテリーの劣化が早くなること
- 本来の能力以上にパワーアップするわけではないこと
- 専用のケーブルを選ぶ必要があります


















































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































