プーリー
オートバイ、特にスクーターに搭載されるCVT（Continuously Variable Transmission：無段変速機）で、プーリーは駆動の要となるパーツです。
スクーターの「頭脳」とも言える存在で、走行フィール、燃費、加速性能を左右します。
目次
プーリーの機能
CVTはギアを持たず、プーリーとVベルトの組み合わせで変速比を連続的に変化させる仕組みです。
- ドライブプーリー（前側）：エンジン側に接続され、回転力を発生。
- ドリブンプーリー（後側）：後輪側に接続され、回転力を受け取る。
この2つのプーリーの溝幅が変化することで、Vベルトの位置が変わり、変速比が自動的に調整されます。
用途と役割
プーリーは、スクーターの発進・加速・巡航・最高速までのすべての走行状況に応じて、最適なギア比を自動で選択する役割を担います。
- 発進時：ドライブプーリーが狭く、ドリブンプーリーが広い → 低速ギア比
- 加速時：ドライブプーリーが広がり、ドリブンプーリーが狭くなる → 高速ギア比
この変化は、ウェイトローラー（WR）の遠心力によって制御されます。
プーリーの特徴
1. ウェイトローラーとの連動
- プーリー内部にあるウェイトローラーが回転によって外側に移動。
- それに伴いプーリーの溝幅が変化し、Vベルトの位置が変わる。
- これにより変速比が連続的に変化し、スムーズな加速が可能。
2. 溝形状と角度
- プーリーの溝の深さ・角度・長さによって変速特性が決まる。
- 加速重視か、最高速重視か、目的に応じて設計が異なる。
3. 素材と耐久性
| 素材 | 特徴 |
|---|---|
| アルミ合金 | 軽量でレスポンスが良いが摩耗しやすい |
| 鋼材 | 高耐久で長寿命、純正品に多い |
| 強化樹脂 | 一部の軽量車種で使用されるが耐久性は劣る |
カスタムと調整の効果
プーリーはスクーターの走行性能を大きく左右するチューニングポイントです。
- 加速重視：軽いウェイトローラー＋高速側プーリー設計
- 最高速重視：重いウェイトローラー＋低速側プーリー設計
- 燃費重視：最適な回転数で変速する設計
社外品のプーリーは、純正よりも変速特性が鋭く設計されていることが多く、走りの個性を出すカスタムの定番です。
メンテナンスと交換目安
- 摩耗チェック：溝の変形、ベルトの滑り、異音などがあれば交換。
- 交換目安：1万〜2万kmが目安（使用状況による）。
- 同時交換推奨：Vベルトやウェイトローラーとセットで交換すると効果的。